近年では、少子高齢化や核家族化の影響により、お墓の継承問題や供養の方法も多様化してきており、その中で墓じまいを選択する方も増えてきているようです。
ここでは、墓じまいの際に欠かすことができない「閉眼供養」の必要性やお布施の費用相場、閉眼供養をおこなう際のマナーなどに関して解説します。
閉眼供養とはどのような法要？
閉眼供養とは、故人の魂が込められたお墓や位牌などの仏具から魂を抜くための儀式の事を指します。
具体的に閉眼供養を行うタイミングとしては、以下のような際に行います。
- 墓じまいするとき
- 改葬するとき
- 新しいお墓に買い替えたとき
- 仏壇や位牌を新しくするとき
閉眼供養は、宗教などにもよって呼び方が異なり、別名を「閉眼法要」「御魂抜き」「抜魂式」「御性根抜き」などとも呼ばれます。
新しく仏具に故人の魂を宿らせる法要を開眼供養と呼びますが、閉眼供養は宿らせた魂を僧侶がお経を唱えて対象物から抜き取る作業になります。
閉眼供養は何に対して行われる？
閉眼供養が行われる対象としては、お墓、仏壇、位牌、仏像、遺影、遺品などの先祖の魂が込められたものに対して行われます。
閉眼供養が必要かどうか分からないものに関しては、寺院などに一度確認すると良いでしょう。
墓じまいで閉眼供養が必要な理由
墓じまいを行う際に閉眼供養が必要な理由としては、「墓じまいをする方の心の整理」と「石材業者や処分業者に円滑に処分を委託する為」の2つの理由があります。
墓じまいをする方の心の整理
墓じまいで閉眼供養が必要な理由のひとつとして、閉眼供養により墓じまいをする方の心を明確に整理する事ができることが挙げられます。
故人の魂は目で見ることができないために、閉眼供養をしないで処分などを行うと故人や先祖に対して後ろめたい気持ちになります。
そのために、僧侶を呼んでちゃんと供養を行うことで、安心して処分を行うことができます。
石材業者や処分業者に円滑に処分を委託できる
墓じまいを石材店や処分の専門業者に依頼する際には、ほとんどの業者が閉眼供養を行っていないと依頼を受けてもらえません。
その理由としては、閉眼供養を行わずに墓石などを処分することで罰当たりであるという考えや、同様の状況で処分をしたことによる親族間のトラブルに巻き込まれたくないなどのことがあります。
閉眼供養でのお布施の相場
閉眼供養を行う際のお布施の費用相場は、一般的にお布施として3万円〜10万円程度の金額をお気持ちとして渡します。
お布施でお渡しする金額は、地域性や今までの関係性によっても異なります
僧侶にお墓まで足を運んでもらった際には、お布施とは別にお車代として5千円〜1万円、御膳料として5千円〜1万円程度の金額を追加でお渡しします。
墓じまいの際には離檀料も必要になる
離檀料とは、墓じまいやお墓を別の場所に移動するなどの際に、寺院の檀家を離れる時に納める費用のことを指します。
今までお墓を維持管理して頂いたお礼として、閉眼供養と関連して支払いを行うことが多く、費用相場としては3万円〜20万円程度とされています。
支払いはお布施同様に義務ではありませんが、過去からの慣習とされています。
墓じまいをする際の流れ
墓じまいは、ご自身の心の整理をする上でも大切な供養方法です。
しかし、実際に墓じまいをするには、どのような流れで取り進めると良いのでしょうか。
ここからは、墓じまいをする際の流れを詳しく見ていきます。
①家族・親族の同意を得る
墓じまいは、先祖代々守り続けてきたお墓を処分することになるので、家族や親族の同意を得ないままに取り進めると後々トラブルになることがあります。
実際にお墓を取り壊した後に、今まで通りにお墓の管理を続けたかったなどの話になると、取り返しがきかない状態になります。
②遺骨を管理している霊園や寺院に相談する
家族や親族への相談と同じくらいに大切なのが、遺骨を管理していた霊園や寺院などの墓地管理者への相談です。
墓地管理者には、墓地に遺骨が収められている証明書である埋蔵証明書や、遺骨を移動する際の証明書である改葬許可証に署名捺印してもらう必要があります。
墓地管理者にきちんと説明を行っていない場合には、各証明書への捺印が貰えず墓じまいに思った以上の時間を要す事もあります。
③墓じまい後の供養方法や受け入れ先を決める
墓じまいをした後に新しいお墓に移動するのか、散骨や自宅での供養など別の供養方法を選択するのかを具体的に決めておきましょう。
お墓を管理する自治体によっては、墓じまい後の供養方法や新しいお墓が決まっていないと手続きができない場合もあるので注意が必要です。
④墓石を解体する業者を選定する
墓石の解体は、一般的に石材店に依頼することになりますが、霊園や寺院によってはあらかじめ指定されていることがあるので事前に確認しておきましょう。
⑤墓じまいに必要な行政手続きを行う
墓じまいをするには、法的に手続きが必要になるのでお墓を管轄する各自治体への申請が必要です。
墓じまいを許可された証明である「改葬証明書」を発行してもらうために、窓口で改葬許可書申請書を提出して手続きを行います。
申請書の提出に必要となる書類は「埋葬証明書」「受入証明書」そして「改葬許可申請書」の3点になります。
⑥閉眼供養をする
閉眼供養を行い、お墓に込められている魂を抜き取る供養を行います。
前述のように、閉眼供養をおこなわないと石材業者が解体工事を行わないことが多いので、解体・撤去の1週間前には済ませておくようにしましょう。
⑦新たな受け入れ先で遺骨を供養する
墓じまいが終わった後は、新たな改葬先や供養方法のために遺骨を移動させます。
遺骨の移動は、ご自身で運ぶ場合には骨壷が割れないように慎重に運びます。
宅配業者に依頼して配送してもらう際には、日本郵便の「ゆうパック」以外では配送することができないので注意する必要があります。
墓じまいの際に気をつけておきたいマナー
墓じまいは、以前に比べて選択する方が増えてきましたが、まだまだ経験がないという方が多いのではないでしょうか。
ここからは、墓じまいの際に気をつけたいマナーを解説します。
閉眼供養などの法要は喪服が好ましい
墓じまいの際に行われる閉眼供養など、本堂などで法要を行う場合には喪服を着ることが望ましく一般的です。
同じ日時に墓石の解体や遺骨の取り出しを行う際にも、服装は喪服のままで問題ありません。
しかし、平服での参加に問題があるわけではありません。
事前に喪主との打ち合わせで、平服での参加が問題ないか確認しておけば特に問題ありません。
墓石の解体工事の場合の服装
身内だけで墓石の解体工事に立ち会う場合は、平服でも失礼にはあたりません。
しかしながら、平服のことを普段着と勘違いされる方もいますが、平服とはダークカラーのスーツやワンピースなどの略式礼装のことで、喪服まで畏まった服装ではないことを指します。
間違ってもジーパンとTシャツなどの普段着で参加しないようにしましょう。
季節に合った服装を選ぶ
夏場の暑い時期に無理をして正装をする必要はありません。
暑すぎて熱射病などにならないように、体調に考慮した落ち着いた格好を心がけましょう。
しかしながら、女性は過度に露出が多くならないように配慮する必要があります。
一方で、冬場など寒さ対策でコートなどを着ることが多くなりますが、革製品の着用はやめましょう。
革製製品は殺生をイメージさせる可能性があるので、着用は避けた方が良いでしょう。
閉眼供養と遺骨の取り出し日を同日にする
家族や親族によっては、遠方より法要に参加される方もいます。
閉眼供養と遺骨の取り出しの日を別日にしてしまうと、家族や親族は2度集まる必要があります。
最低限の配慮として、同日にすることで余計な手間をかけることがないと共に、服装も統一できるのでよいでしょう。
華やかなアクセサリーを避ける
墓じまいでの服装では、イヤリングやネックレスの他にも時計など華美なアクセサリーを身につけるのはあまり好ましくありません。
ネックレスなどをワンポイントで身につけたい場合などは、真珠のアクセサリーにすると良いでしょう。
墓じまいは香典不要
一般的に墓じまいは、近しい親族や家族のみで行われます。
それもあり、香典はほとんどの場合に必要ありません。
墓じまい後に新たなお墓を建てて供養を行う場合には、建碑祝いなどが必要になるので建碑祝い金とお供物を持参すると良いでしょう。
墓じまい後の供養の選択肢とは
墓じまいをした後は、故人を適切な方法で供養しますが、供養方法としていくつかの選択肢があります。
一般的な供養方法としては、以下の3種類があります。
永代供養
永代供養は、お墓の管理が難しくなった方が霊園や寺院に故人や先祖の供養を永代的に任せることを指します。
永代供養には、お墓同様に個別に納骨する個別墓や、不特定多数の方の遺骨と一緒に納骨する合祀墓など様々な選択肢があります。
手元供養
手元供養では、墓じまい後の遺骨を自宅に保管して供養します。
小さな骨壷に移し替えて保管する場合や、遺骨をアクセサリーなどに作り替えて身につけて供養する方法などバリエーション豊かな供養方法があります。
散骨
墓じまい後の遺骨の供養方法として、散骨を選択する事もできます。
「海洋散骨のAクルーズ」では、生前海が好きだった故人の思い出の場所である海で故人を供養して送り出します。
家族や親族だけでのプライベート空間の供養や、遠方からの散骨代行など様々な方法で故人を偲ぶことができるオーダーメイドの供養方法もあります。
まとめ
「閉眼供養」の必要性やお布施の費用相場、閉眼供養を行う際のマナーなどを解説しました。
墓じまいをする際には、故人の魂をお墓などから切り離す上でも閉眼供養は大切な法要です。
実際に墓じまいでお墓を解体する時に、閉眼供養をしていないと石材店などの解体業者が作業をおこなってくれない場合があるので注意が必要です。
また、墓じまい後の供養方法も事前に考えておく必要があります。
供養方法も年々多様化しているので、永代供養や手元供養の他にも多くの供養方法があります。
海洋散骨での供養方法を検討されている場合には、どのような供養プランがあるのか気軽に専門業者にご連絡だけでもしてみてはいかがでしょうか。
