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お役立ちコラム

墓じまい


無縁仏になるとどうなる?費用・供養・回避するための方法を紹介

無縁仏になるとどうなる?費用・供養・回避するための方法を紹介

核家族化が進行し、単身世帯や生涯未婚率が増加の一途をたどっています。

多くの人が、「自分の死後、誰が供養してくれるのだろうか」「先祖代々受け継いできた墓はどうなってしまうのだろうか」という漠然とした不安を抱えているのではないでしょうか。

実際にその不安の先にあるのが、「無縁仏(むえんぼとけ)」という現実です。

「自分の死後に誰にも迷惑をかけたくない」という思いが、かえって「無縁」という形で、後の世に重い課題を残してしまうのかもしれません 。

無縁仏になることは、故人の尊厳にも残された人々の心にも決して望ましい姿ではありません。

ここでは、無縁仏とは何か、その実態とデメリット、そして無縁仏になるかもしれないという不安から回避するための方法などを解説します。

増加する「無縁仏」の定義と、現代社会の背景

無縁仏とは、単に孤独死した方を指す総称ではありません。

一般的にその定義としては、大きく二つに分けられます。

  • 供養、管理をしてくれる人がいない故人(遺骨)
  • 管理、承継する人が途絶えて放置されたお墓(無縁墓)

故人やその遺骨を弔う人がいなくなった状態、あるいは維持すべきお墓が放置され寺院や霊園によって管理不能と判断された状態を総称して「無縁仏」と呼びます。

無縁仏が増加する二つの社会背景

無縁仏の増加は、個人の問題ではなく、社会構造の変化によって引き起こされています。

家族形態の変化と人間関係の希薄化

近年では、少子高齢化や核家族化が進み、高齢者の一人暮らしや夫婦のみの世帯が増加傾向にあります。

これにより、「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」(お墓や供養を継ぐ人)がそもそも存在しないケースや、遠方に住んでいて物理的にお墓を管理できないケースなどが増加しています。

さらに、親族間での経済的な問題や生前の確執などにより、遺骨の引き取りを親族が拒否する「人間関係の希薄化」も、無縁仏を生む大きな要因となっています。

「家」や「家系」意識の終焉と葬送文化の変遷

かつての日本では、「家制度」に基づきお墓は代々家族や親族に受け継がれるべきものでした。

しかし、現代では個人の価値観の多様性が尊重され、「お墓はいらない」「自然に還りたい」と考える人が増えています。

この価値観の変化は、既存の墓地の管理費用滞納や「墓じまい」の増加を招き、従来の供養システムからの離脱を加速させているようです。

特に近年、政令指定都市などが引き取る無縁仏の数は増加の一途*をたどっており、これはもはや無視できない社会全体の課題となっています。

【参照】読売新聞オンライン「無縁遺体」5年間で3割増、独り暮らし増加や親類の引き取り拒否広がり…読売調査

無縁仏がもたらす、故人と遺族への「無縁」デメリット

無縁仏がもたらす、故人と遺族への「無縁」デメリット

無縁仏になることは、故人や残された家族にとって事務的かつ精神的な重荷となることがあり、多くのデメリットを伴います。

「行政が何とかしてくれる」と他人事のように楽観視することはできません。

故人の尊厳と遺骨の取り扱いに関する問題

無縁仏と判断された遺骨は、最終的に地方自治体が引き取り、行政が委託した霊園や寺院で火葬・埋葬され合祀されます。

その為に、故人の扱いは「事務的」にならざるを得ません。

無縁仏の供養方法

無縁仏になった故人は一定期間保管された後、他の無縁仏の遺骨と一緒に合祀されます。

一度合祀されると、特定の個人の遺骨だけを取り出すことは事実上不可能です。

故人の供養場所が通常のお墓のように個々にあるわけではなく、永遠に他の無縁の方々との共同墓となってしまいます。

遺骨の粉砕・処分リスク

自治体の合祀墓のスペースには限りがあるため、増加する無縁仏に対応するため、遺骨を粉砕したり、一部のみを埋葬して残りを産業廃棄物として処分したりするケースも報告されています。

これは、故人の尊厳に関わる、非常に心苦しい現実です。

残された親族・行政にとって金銭的・事務的負担が多い

「誰にも迷惑をかけない」という意図とは裏腹に、無縁仏は残された親族や行政に負担を強いることになります。

無縁仏が発生した場合の費用負担金

先祖代々のお墓が無縁墓(管理費滞納)となった場合には、無縁墓の撤去費用が発生します。

墓地管理者は官報公告や現地への立て札掲示といった複雑な手続き(1年間)を経た上で、お墓を撤去し更地に戻します。

この「墓じまい」にかかる費用(10万〜30万円程度)は、墓地管理者が負担するのが一般的ですが、後に親族が判明した場合、請求される可能性も否定できません。

遺族への費用請求のリスクがある

前述のように、身寄りのない方の葬儀や火葬にかかる費用は自治体が一時負担しますが、後に相続人や親族が判明した場合、その費用の負担を求められることがあります。

疎遠であった親族の遺骨引取りを拒否した場合でも、最終的に金銭的な責任が発生する可能性があります。

無縁仏になることは、「死後の管理・供養ができない」という不安を、「誰かが最終的に面倒を見ざるを得ない」という具体的な金銭的・事務的負担に変えてしまうことを意味します。

この負の連鎖を断ち切るためには、生前にご自身で確実に準備することが不可欠になります。

無縁仏を避けるための4つの「終活」対策

無縁仏を避けるための4つの「終活」対策

ご自身やご家族を無縁仏にしないために、今すぐ検討すべき具体的な対策は多岐にわたります。

特に、「墓の有無」と「供養の継続性」という二つの軸で考えることが重要です。

①既存のお墓を整理する「墓じまい」

先祖代々のお墓があり、今後承継者がいないことが確実な場合は「墓じまい」が有効な手段になります。

お墓を撤去し、使用権を墓地管理者に返還することで、将来の無縁墓化を防ぎます。

具体的な手続きとしては、改葬許可申請、閉眼供養、墓石撤去、新しい供養先への納骨などが必要になります。

費用としては、総額で30万円〜75万円程度が相場ですが、撤去費用やお寺への離檀料など、高額になる場合があります。

墓じまいは「終わり」ではなく、新しい供養の「始まり」です。

撤去後の遺骨の行き先をどうするか、という選択肢が重要になります。

②供養の継続を約束する「永代供養契約」

「永代供養契約」とは、お墓の管理・供養を寺院や霊園に永続的に委託する契約です。

子孫やお墓の承継者がいなくても、施設が存続する限り供養が続けられます。

永代供養の一例としては、合祀墓(共同墓)などがあり他の方の遺骨と一緒に埋葬されます。

費用は比較的安価で5万~30万円程度になります。

個別墓や集合墓などでは、一定期間は個別に供養されますが、その後合祀されるのが一般的です。

費用的には、50万円~150万円程度が相場になります。

③葬送の意志を明確にする「死後事務委任契約」

死後事務委任契約は、親族がいない、あるいは親族に負担をかけたくない場合に、弁護士や行政書士などの第三者と契約を結び、死後の事務手続き(葬儀、埋葬・納骨、公的手続きなど)を委任することを指します。

自分の希望通りの葬儀・供養を実現できたり、親族の負担を軽減できる反面、信頼できる相手を選び、契約費用や事務処理費用などの対応をしてもらう必要があります。

費用面的には、行政書士などの専門家に契約書を作成してもらう費用として10万円~30万円程度発生します。

公正証書作成手数料としては8千円~3万円程度の費用が発生し、委任された内容を実行する費用が別途発生します。

④管理・承継の概念をなくす「散骨(海洋記念葬)」

無縁仏を避ける最も根本的で、近年利用者が増えている供養方法が、「散骨」です。

特に海洋散骨は、現代のライフスタイルや価値観に最も合致した、未来志向の供養のカタチとされ、近年では著名人なども利用されて知名度をあげています。

散骨(海洋散骨)の優位性

管理・承継管理・承継が一切不要で一度海に還れば、お墓も管理費も存在しません。

費用としては墓石建立や永代供養と比較して、総費用が比較的リーズナブル(数十万円程度が相場)となっています。

故人の尊厳としても、遺骨を粉末化(粉骨)して自然に還すため、遺骨が事務的に処分される心配がありません。

精神的負担に関しては「誰にも迷惑をかけない」という故人の希望を、確実に実現できます。

散骨は、お墓という「物理的な箱」から解放され、故人の魂を雄大な自然に託す、究極の自由な供養の選択肢となります。

海洋散骨(海洋記念葬)が実現する、心安らかな「永遠の絆」

海洋散骨(海洋記念葬)が実現する、心安らかな「永遠の絆」

散骨会社が提供する海洋散骨は、単に海に遺骨を撒く行為ではなく、「故人が自然という大きな循環の中へ旅立たれる記念日」として、心を込めて執り行う「海洋記念葬」です。

承継の不安からの完全な解放

「無縁仏」の不安の根源は、「承継者がいなくなること」に尽きます。

散骨を選ぶことで、この不安は完全に解消されます。

散骨ではお墓を持たないため、将来、誰が管理費を払うか、誰が承継者になるかといった悩みが一切発生しません。

遺されたご家族は、「誰にも負担をかけなくて済んだ」という清々しい安心感と、美しい海を故人との新しい「約束の場所」とできる、精神的な拠り所を得ることができます。

生前に残された家族や親族に金銭的な迷惑を掛けたくないといった考えの方にも選ばれます。

「合祀」ではない、自然との融和

無縁仏の合祀は、あくまで保管場所の確保という目的の下、事務的に行われます。

しかし、散骨は、故人の「自然に還りたい」という想いを、厳粛かつ丁寧なセレモニーとして実行します。

粉骨という法的な準備を経て、花々とともに静かに海に還された故人様は、永遠に地球という大きな生命のサイクルの一部となります。

それは、「無縁」とは真逆の、「大いなる自然との有縁」の結びつきになると考えます。

費用面の軽減と永続的な供養の場

散骨の費用は、数十万円から提供されるプランが多く、数百万円を要する一般のお墓の建立や、高額な個別型の永代供養と比較しても、非常に経済的です。

経済的な理由で墓じまいを検討されている方や、供養の場所を墓地や霊園などに限定されたくない方にも利用されています。

また、ご家族は毎年お墓の管理費を支払う必要がなく、故人が還った美しい海を、いつでもどこからでも想うことができるようになります。

これが散骨という「お墓を持たない、新しい永代供養のカタチ」となります。

まとめ

無縁仏とは何か、その実態とデメリット、そして無縁仏になるかもしれないという不安から回避するための方法などを解説しました。

無縁仏というテーマは身近ではないようですぐ側にある重い課題ですが、現代には、それを回避するための様々な道が用意されています。

「誰にも迷惑をかけたくない」「自分の最期は自分で決めたい」「美しい自然に還りたい」

などと自身が願うならば、その希望を「行動」に移す必要があります。

遺書やエンディングノートに記すだけでなく、永代供養や、散骨会社に生前相談をするという具体的な一歩を踏み出すとよいかもしれません。

終活は、未来の不安を取り除くための「最上の自己投資」であり、残されたご家族への「永遠の配慮」になります。

無縁仏になるかもしれないことに不安を感じているのであれば、まず無縁仏の不安を解消し、心安らかな未来を手に入れるために、散骨の専門家に一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

「無縁仏」とは?なぜ増えているのですか?

無縁仏は次の二つを指す総称です。



  • 供養・管理をしてくれる人がいない故人(遺骨)

  • 承継者が途絶え放置されたお墓(無縁墓)


背景には、少子高齢化・核家族化による祭祀承継者の不在、遠方居住や人間関係の希薄化、価値観の多様化(「お墓はいらない/自然に還りたい」)などがあり、自治体が引き取る無縁遺骨も増加傾向にあります。

無縁仏になるとどんなデメリットがありますか?

  • 故人の尊厳面:自治体に引き取られ一定期間保管の後、他の無縁遺骨と合祀。個別に取り出すことは事実上不可。

  • 取り扱いの現実:合祀墓の容量制約から、遺骨の粉砕や一部のみ埋葬等の対応が生じる場合がある。

  • 家族・行政の負担:無縁墓の撤去や官報公告等の事務負担、費用請求が親族に及ぶ可能性。葬送費用を自治体が立替後、相続人判明時に求償されるケースも。

無縁仏を避けるための具体策は?費用感は?

  • ① 墓じまい:改葬申請・閉眼供養・墓石撤去・新たな納骨先の決定までを実施。相場は概ね30万〜75万円(条件で増減)。

  • ② 永代供養契約:寺院・霊園が継続供養を保証。合祀型は5万〜30万円、一定期間の個別供養後合祀のタイプは50万〜150万円が目安。

  • ③ 死後事務委任契約:専門家へ葬送・埋葬・各種手続を委任。契約作成10万〜30万円+公正証書手数料8千〜3万円+実行費用。

  • ④ 散骨(海洋散骨など):承継・管理負担が不要。粉骨の上で自然へ還すセレモニーとして実施。費用はプランにより数十万円程度が一般的。


家族と早めに話し合い、希望(手元供養や自然葬の併用等)を文書化し、必要な契約・手続きを準備することで、無縁化の不安を実務的に解消できます。

この記事の監修者

株式会社Aクルーズ 

代表取締役 天井 十秋

散骨や粉骨などご遺骨のプロとして葬送事業を10年以上行っている経験とノウハウで、延べ1500名様以上の供養に携わってきた。散骨業の健全化も図るため、散骨協会の理事も務める。

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