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埋葬の種類とは?お墓以外の埋葬方法やそれぞれの特徴について

埋葬の種類とは?お墓以外の埋葬方法やそれぞれの特徴について

「家族が亡くなった場合、どのような埋葬方法があるのだろうか?」

「埋葬するまでの流れが知りたい」

このような疑問や不安を抱えていないでしょうか?

近年、家族構成や価値観の変化により、お墓への埋葬以外にもさまざまな選択肢が増えています。

しかし、実際にどのような方法があり、それぞれどのような特徴があるのか知らない方も多いでしょう。

本記事では、埋葬方法の種類と特徴、費用の目安、埋葬までの流れを解説します。

埋葬の種類

現代の日本では、従来のお墓への埋葬に加え、さまざまな埋葬方法が選択できるようになっています。

ここでは、5つの埋葬方法について紹介します。

  • お墓に遺骨を納める
  • 永代供養を依頼する
  • 納骨堂に遺骨を納める
  • 散骨
  • 樹木葬

お墓に遺骨を納める

日本で最も広く採用されている供養方式が、遺骨をお墓に納める方法です。

火葬により焼骨された遺骨を骨壺に入れて、墓石の下にある納骨室(カロート)に安置されます。

この方法は厳密には「埋蔵」と呼ばれ、骨壺のままお墓の中に保管する形式を指します。

公営・民営・寺院などのお墓を利用しており、世代を超えて受け継がれる日本の伝統的な供養文化です。

一般墓のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
・先祖代々の供養の場として家族の絆を保てる
・法要や墓参りで親族が集まる機会になる
・宗教的な儀式や慣習を実践しやすい
・お墓の使用料や墓石費用などが高額
・清掃や手入れなど継続的な維持作業が必要
・管理を担う後継者が不可欠

永代供養を依頼する

永代供養は、寺院や霊園が遺族に代わって長期的な管理と供養を担う埋葬方式です。

この制度では、お墓の維持や法要などを専門機関が代行するため、後継者不足や管理負担の課題を解決できます。

ただし、「永代」とは永続という意味ではなく、多くの場合33回忌を目安とした期限が存在します。

期限後は、合祀墓で供養される点に注意しましょう。

メリットデメリット
・遺族による日常管理が一切不要
・お墓で埋葬するよりもコストが低い
・承継者がいない家庭でも安心して利用可能
・最終的に他の遺骨と一緒に合祀される
・施設の立地によっては供養の場に行きにくい

納骨堂に遺骨を納める

納骨堂は、遺骨を納めるための屋内施設です。

当初は墓石を建てるまでの一時的な保管場所として機能していましたが、現在では供養施設として活用されています。

ロッカー式や棚形式などのさまざまな収納方式があり、都市部を中心として急速に普及しています。

メリットデメリット
・都市部に位置していることが多く、アクセスしやすい
・屋内にあるため天候の影響を受けない
・お墓特有の清掃作業が不要
・立地や設備によっては利用料が高額になる
・期限が設定されている場合、契約期間満了後は合葬されることがある

散骨

散骨は、粉末化した遺骨を海洋や山間部などの自然環境に還す供養方法です。

「節度を持って実施する限り」は法的にも認められており、お墓を持たない新しい弔いの形として注目されています。

ただし、自治体によっては独自の規制条例を制定している地域もあるため、実施する前に確認するようにしましょう。

メリットデメリット
・お墓の購入や維持管理が一切不要
・一般墓の埋葬よりコストが低い
・宗派や宗教観に縛られない柔軟な供養が可能
・参拝対象となる固定的な場所が存在しない
・地域条例により実施場所が制限される
・伝統的な方式を望む親族から反対される

樹木葬

樹木葬はシンボルとなる樹木を植えて、その周りに遺骨を埋葬する供養方式です。

庭園・公園・里山の3つの形態に分類され、それぞれ異なる景観と特色を持ちます。

環境保全意識の高まりとともに利用者が増加している埋葬手法です。

メリットデメリット
・環境負荷の少ない供養方法
・一般的なお墓よりもコストを抑えられる
・四季折々の自然美に包まれた空間
・お墓がないため、他の遺骨との区別が難しい
・郊外にあることが多く、アクセスに時間を要する
・樹木の手入れが必要な場合がある

埋葬の概要

埋葬の概要

埋葬とは、故人の遺体や遺骨を土の中に埋めることを指します。

「墓地、埋葬等に関する法律」では、埋葬は「遺体を土中に葬ること」と明確に定められています。

参照:e-GOV法令検索 墓地、埋葬等に関する法律

ここでは、以下のポイントで埋葬の概要について解説します。

  • 埋葬する理由
  • 埋葬と納骨の違い

埋葬する理由

埋葬する理由として、衛生面の悪化防止、野生動物からの保護、故人の尊厳を守るという3つが挙げられます。

遺体を放置すると腐敗による悪臭が発生してしまい、周辺住民の健康や生活環境に深刻な影響を与えるでしょう。

また、野犬やカラス等の動物が遺体を損傷させる危険性も高まります。

さらに、愛する人が朽ち果てていく様子を目の当たりにすることは辛いだけでなく、故人への敬意を欠く行為として感じる方も多いでしょう。

以上の理由から、埋葬を適切に実施することは不可欠といえます。

埋葬と納骨の違い

埋葬と納骨は混同されがちですが、それぞれ異なる概念を持つ行為です。

埋葬は土葬や火葬後の遺骨を土に埋める行為を指しています。

一方、納骨は火葬によって焼かれた骨を骨壺に入れた状態で、寺院や霊園の指定されたお墓に納める行為です。

実際の手順では、火葬後に寺院や霊園に納骨してから、埋葬という流れで進んでいきます。

埋葬の費用

埋葬の費用

埋葬方法によって費用は大きく異なります。

以下の表で、埋葬方法ごとの費用目安を確認しましょう。

埋葬方法合計費用目安
一般墓200万円〜300万円
永代供養墓5万円〜200万円
納骨堂10万円〜150万円
散骨5万円〜250万円
樹木葬5万円〜80万円

一般墓や納骨堂、樹木葬などは、初期費用に加えて維持・管理の費用がかかります。

年間で数千円〜数万円という出費ですが、毎年のこととなると負担になる場合もあるでしょう。

費用をできるだけ抑えたい場合は、永代供養という選択肢もあります。

ただし、金額だけで考えるのではなく、プランの内容を細かく比較しつつ、その費用に見合った内容なのかをよく確認することが重要です。

埋葬するまでの流れ

ここでは、実際に埋葬するまでの一般的な流れを詳しく解説します。

  • 埋葬方法を決める
  • 死亡届を提出して火葬する
  • 火葬後に埋葬許可証をもらう
  • 必要に応じて粉骨を実施する

埋葬方法を決める

まずは、複数の要素を考慮した上で埋葬方法を決めましょう。

最も優先すべき点は故人が生前に示していた意向です。

また、遺族の経済的負担を考慮した上で、無理のない予算範囲の中で選択することも重要です。

さらに、遺族が定期的に参拝できるような立地条件も判断材料の1つとなります。

散骨や樹木葬など、一度実施すると取り消しできない方法もあるため、家族間での十分な話し合いが不可欠です。

親族全員が納得した上で、後悔のない選択となるように、時間をかけて慎重に検討するようにしましょう。

死亡届を提出して火葬する

死亡確認後は速やかに死亡届を提出します。

死亡届の提出先は故人の死亡場所、届出人の居住地、または故人の本籍所在地のいずれかの市区町村役場です。

死亡から7日以内の提出が法的に義務付けられています。

提出者は親族や同居者が一般的ですが、葬儀業者による代理手続きも可能です。

また、手続きには医師が作成した死亡診断書が必要なため注意しましょう。

行政窓口で死亡届が受理された後、火葬許可証が発行されます。

この許可証がない場合、火葬は実施できません。

火葬許可証を入手した後は火葬場への予約申込みを行い、火葬日程を確定させた後、火葬を実施します。

火葬後に埋葬許可証をもらう

火葬が完了した後は、火葬の実施を証明する「埋葬許可証」が発行されます。

この証明書は、遺骨を墓地・納骨堂・霊園などの最終安置場所に納める際の必要書類です。埋葬許可証がない場合、どのような形態の埋葬も実行できないため、火葬場での受領は欠かせません。

受領後は大切に保管し、埋葬実施まで確実に管理するようにしましょう。

必要に応じて粉骨を実施する

粉骨は、遺骨を微細なパウダー状に加工する専門的な処理技術です。

散骨を選択した場合、遺骨を2mm以下へ粉砕することが法的で義務付けられています。

原形のまま自然環境に散布すると「死体遺棄罪」に該当する恐れがあるため注意しましょう。

自宅供養においても、大型骨壺の長期保管は衛生面や管理面で課題があります。

粉骨により真空パックにしたり、オブジェやアクセサリーへ加工することで、適切な管理ができるでしょう。

粉骨作業の費用相場は1万円〜3万円程度とされています。

粉骨は個人でも行えますが、精神的な負担も大きいため、専門業者へ委託することをおすすめします。

埋葬に必要な書類

埋葬に必要な書類

埋葬の手続きには、死亡届・死亡診断書・火葬許可証が必要です。

死亡届は各市区町村の役場に用紙が用意されているため、現地で記入した後に窓口へ提出しましょう。

届出義務者は親族・同居者・家屋管理人・後見人などで、代理人による手続きも認められています。

提出期限は亡くなったことを知った日から原則7日以内です。

死亡診断書は医師が作成する公的証明書で、死亡届とあわせて提出する必要があります。

通常は死亡を確認した際に医師から交付されますが、入手困難な場合は役場窓口で相談可能です。

火葬許可証は死亡届を受理した後に市区町村から発行される書類で、この書類がなければ火葬は実施できません。

火葬完了後は「火葬済み」の押印を受けて返却され、以降は「埋葬許可証」として機能します。

各書類とも紛失しないよう大切に管理しましょう。

まとめ

ここまで、埋葬の種類や費用の目安、埋葬までの流れについて詳しく解説しました。

現代はお墓への埋葬に加え、永代供養や樹木葬、散骨などさまざまな選択肢が増えました。

それぞれの方法には異なるメリット・デメリットがあるため、故人の意向や家族の状況、予算などを総合的に考慮して選択することが重要です。

後悔のない選択をするためにも、家族でよく話し合い、納得のいく方法を見つけるようにしましょう。

この記事の監修者

株式会社Aクルーズ 

代表取締役 天井 十秋

散骨や粉骨などご遺骨のプロとして葬送事業を10年以上行っている経験とノウハウで、延べ1500名様以上の供養に携わってきた。散骨業の健全化も図るため、散骨協会の理事も務める。

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